高齢者は骨粗しょう症による骨折が起こりやすい

人間の骨は毎日の生活で出会う外力に十分に耐えられるほど強く出来ており、体内で最も太い骨である下腿や太ももの骨は270~300kgの外力が加わらないと折れません。

最も重い相撲取りが乗っても耐えられるほど強い骨が骨折するのは骨の強さ以上の外力が加わった場合か、病気で骨が弱くなって少しの外力でも折れる場合か、のいずれかです。

若者では交通事故や仕事中の転落、スポーツ中の衝突などで大きな外力が加わって骨折します。
しかし、高齢者では室内で転んでも骨折するのは骨の強さが若者の骨に比べて1/4位に弱くなって、70kgほどの体重が乗っただけでも折れてしまうからです。この状態を骨粗しょう症といい、65歳になると約半数の女性が、80歳になると約半数の男性が骨粗しょう症に罹っています。

若者では長い骨の骨幹部、高齢者では長い骨の骨幹端部が折れ易い

手足の長い骨の端近くの骨幹端部、即ち関節近くの膨らんでいる骨は隙間が多いため骨を壊す細胞が集まり易く、骨粗しょう症では骨幹端部が早く・著しく弱くなります。従って、高齢者では二の腕の付け根(肩関節近く)の上腕骨外科頸部、前腕の先端の橈骨遠位端、太ももの付け根の大腿骨近位部に骨折が生じ易いです。

一方、若者では強い骨の耐えられる力以上の直達外力が加わって折れ易いのは骨の中央部です。これは鉛筆やマッチ棒を折ろうと力を入れた場合、加わった力が集まる中央で折れ易いのと同じです。また、若者が希に腕相撲で上腕骨を捻ったり、スキーで下腿を捻じった際、上腕骨や脛骨には骨に沿った介達外力が加わり中央部に螺旋骨折を生じることがあります。いずれにしても、若者では長い骨の骨幹部、高齢者では長い骨の骨幹端部が折れ易いといえます。

若者が骨幹部を骨折した場合は長い添え木やギプスで外固定したり、骨折部に金属製の長いプレートを当てて、しっかりと内固定できます。
一方、高齢者の骨幹端部骨折では、長い方の骨折端には金属のプレートを当てられますが、短い骨折端を把持して固定する方法が難しく、高齢者骨折の内固定には難渋してきました。しかし、最近では強い金属を用いて固定出来るようなデザインのプレートなどが開発されましたので、殆どの高齢者骨折では正確に整復・固定できます。
二の腕の端、前腕の先端など上肢の骨折の整復・固定期間中に病院で使っていた白い布で腕を吊り下げて外出するのは痛々しいと室内に留まりがちですが、おしゃれな吊り下げの布を活用して、社会に出て活動する事が治癒の早道といえます。