林先生 骨折ネット監修
原宿リハビリテーション病院 名誉院長
林 泰史 先生

当サイト監修の原宿リハビリテーション病院 名誉院長・林泰史先生から、家の中での転倒による骨折を防ぐためのポイントについてアドバイスをいただきました。

「5つのさ」に注意して、骨折リスクを減らす

骨折には、「大きな事故や激しい運動時の強い衝撃によるもの」というイメージがありますが、家の中で転倒したり敷居に足がぶつかったりといった、弱い衝撃でも起きてしまいます。

転倒の原因になりやすい「5つの"さ"」を紹介します。

  1. 乱雑さ  : 通路をまたがる延長コードなど
  2. 段差   : 階段や敷居など
  3. 暗さ   : 照明が不足しているところ、電球切れがある照明など
  4. まぶしさ : 照明が強く眩しかったり、真向かいから光が差し周囲が見えにくくなる場所
  5. 寒さ   : 空調が届かないお風呂場や洗面所など

床や廊下に延長コードや一時的にものを置いたり、段差の大きい階段、暗い(あるいはまぶしい)場所が家の中にあったりすると、転倒のリスクはより大きくなります。 特に寒さで手足の動きが鈍くなりやすい冬場は、普段は転ばないような場所でも転びやすくなるので要注意です。

また、睡眠導入剤や、ピリン系の風邪薬など催眠効果がある薬を服用したあとや、和服のように袖や裾が長い着物を着ている時、サンダルや草履など脱げやすく突っかかりやすい履物を履いている時も、転倒しないよう充分に注意が必要です。

高齢者が転倒すると、女性では10%、男性では5~6%が骨折を経験するとされていますが、一度骨折を経験した人は、再度骨折するリスクが4倍近く高まってしまいます。

特に高齢者の骨折は、治りにくく、運動や外出が制限されて運動機能が衰えることで「要介護」の要因にもなる、とても怖い疾病です。

こまめな後片付けを忘れない、家の中の段差を極力小さく、少なくする、暗く足元が見えにくい廊下には照明を取り付けるなど、骨折を防ぐための準備を忘れないようにしましょう。

また、アイシングする、腕や足首の骨折では添え木をあてて骨折部位を固定するといった応急処置の方法や、近所の整形外科などの医療機関をあらかじめ調べておくことも、万一骨折してしまった際の速やかな対処のために重要なことです。

骨折を防ぐための環境づくりと、すぐに適切な対処を行う、あるいは受けるための普段からの情報収集を欠かさないようにしましょう。