骨折後に外出して良いかどうかの判断は先生に診断してもらう
骨折の治療後に外出して良いか悪いかの判断は、歩いて良いかどうかが分からない下肢骨折について必要です。
判断は、次の3点で行います。
- 骨折部が癒合して繰り返して体重を掛けて歩けるか
- すれ違う人や自転車などを避けて転ばずに歩けるか
- 骨折後に衰えた下肢の筋力が窪んだ道や段差を踏み越えて歩けるまで回復したか
下肢の骨折でも大腿骨、下腿骨、足首の骨、踵や足趾の骨など、骨折した骨によって骨癒合期間が異なります。
一般的には太い骨は約3カ月間、細い骨は約3週間で骨折は癒合しますが、
- 複雑な折れ方
- しっかりと整復・固定が出来ていない
- 骨折部が皮膚の創に接している
- 靭帯も断裂
などでは骨折の癒合が遅れます。
従って、患者さんが自分で骨折後に外出して良いかどうかの判断をするのは困難で、下肢に全体重を掛けて歩けるまで骨癒合が完成しているかどうかは整形外科の先生により骨のレントゲン像などで診断していただきます。
骨折後、最初の外出は寒くない天気の良い昼間に
骨折の多くは転んで生じますので、医師の許可が出て外出しても転んでしまいますと再骨折を生じかねません。骨折後に初めて外出をする時は人混みを避けたり、杖を使ってすれ違う人や自転車に警告を発したりして接触による転倒を防ぐようにして下さい。
若い頃は家々の車庫から車道に向けて歩道が低く窪んでいる、マンホールの縁が1.5cmほど高くなっているなど道の凹凸を気にしないで歩いていました。 しかし、高齢になると下肢を高く上げる役目の腸腰筋(ちょうようきん)が衰え、摺り足歩行をしがちです。しかも、高齢者は3週間も臥床(がしょう)すると筋肉の力が半分にまで低下しますので、骨折経験者は経験しない人に比べて約4倍も再骨折し易くなっています。
判断力、視力、聴力の衰えがちな高齢者は骨折後、最初に外出する際は風が強くなく、寒くない天気の良い昼間を選んで下さい。
ギプス固定期間中は安定歩行する方が確実に回復につながる
骨折部が癒合して繰り返して体重を掛けて歩けるようになりますと外出許可が出ますが、時には脛(すね)や足首、踵の骨の骨折で骨癒合をする前のギプス固定期間中に、歩行器や松葉杖などを使って骨折した下肢を浮かせて歩き、やがて骨折部の癒合状態に応じて少しずつ体重を掛けて歩くように指導されることもあります。この状況での不安定な歩行をギプスに合わない靴で行なったり、サンダルやスリッパを使って歩く人がいます。
このような危険な歩き方をしないでギプスを包み込むカバーやカバー付き靴などを用いてスマートな安定歩行をする方が確実な回復につながります。