骨折のおもな原因は、外傷、過度の運動、病気です。原因を知ることで骨折を予防できることもあります。
外傷
骨折のほとんどは外傷、つまり外力がかかったことによって起こります。たとえば、転倒(転ぶこと)、転落、衝突、交通事故などです。平地での転倒など、弱い外力によるものであれば骨折しても1か所の骨折だけですむことが多いのですが、交通事故や高所からの転落など、強い外力がかかった場合は、複数の部位に骨折が起こったり、開放骨折※となったり、ほかの臓器が損傷することもあります。
予防のために
突発的な事故など、避けることが難しい面もありますが、転倒予防については、安定性の高い靴をはく、家の段差を解消する、運動の前には柔軟体操など準備を十分に行うなど、日常生活で注意を心がけることはできます。「療養中の過ごし方」にある転倒の予防対策を取り入れましょう。
過度の運動
ふつうでは骨折を起こさない程度の小さな力でも、骨の特定の部位に繰り返し連続的にかかることで、骨折が起こることがあります。これを疲労骨折といいます。過度に同じ動きを繰り返すことが原因で、マラソンなど走る競技ではすねの骨(脛骨)、サッカーやバスケットでは足の甲の骨(中足骨)によくみられます。1ヵ所に集中して繰り返し力が加わり、小さなひびがたくさん発生してしまうのです。これらはごく小さなひびなので、レントゲン写真に写らないこともあります。
予防のために
骨の特定の部分に断続的に力がかかるスポーツでは、運動前の準備を十分に行うとともに、日頃から筋力を向上させるトレーニングも適切に行うことが大切です。また、痛みや違和感を感じたら、早めに整形外科医の診療を受けましょう。スポーツは、トレーナーなどの指導を受けながら安全に行うことが求められます。
骨折を生じ易い病気
もともと持っている病気のために骨がもろくなり、軽微な外力によって骨折を起こすことがあります。 おもに次のような病気が原因となります。
- がんの転移
がんが骨に転移すると、転移した部位の骨がもろくなります。 - 骨粗しょう症
加齢などのために骨の強度が低下し、骨がもろくなる病気です。 - 大理石骨症
遺伝子の異常により、骨が硬くなる病気です。骨は硬くなりますが、強度はかえってもろくなります。 - 骨髄炎
細菌に感染して骨髄炎が起こると骨がもろくなり、骨折しやすくなります。
予防のために
もともと病気の治療をきちんと行うことと、「療養中の過ごし方」にある転倒の予防対策を取り入れましょう。