骨折を引き起こす病気。早目の発見、治療が大切です

骨粗しょう症になりやすい人はこんな人

骨の中身がスカスカとしてもろくなる「骨粗しょう症(骨粗鬆症)」についてはみなさんも病名は健康診断の際やテレビ・新聞などでよく見聞きされているのではないでしょうか。このトピックスでも何度か触れてきましたが、骨粗しょう症は骨折につながりやすく、それによって日常生活が不自由になったり、介護が必要な状態になってしまったりするケースが増えています。


骨粗しょう症になりやすい要因として、 第一にあげられるのは加齢です。骨は通常、代謝によって古い骨は削られ(骨吸収)、新しい骨がつくられることで生まれ変わっていますが、高齢になるほど骨をつくるスピードは遅くなります。また、腸からカルシウムをはじめとする栄養素を吸収する力が衰え、体内でつくられるビタミンDの量が低下するなどして、骨の丈夫さの指標である骨密度は年齢とともに徐々に低下していきます。


特に女性の場合は、閉経をきっかけに女性ホルモンが減少し骨密度が急激に低下します。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨吸収を抑えたり、骨の形成を助けたりする働きがありますが、閉経によってエストロゲンの分泌が減少することによって、骨吸収が促進され骨密度が低下するのです。実際、骨粗しょう症と診断される患者さんの大多数は、閉経後の女性です。

このように骨粗しょう症になりやすい要因は様々ありますが、どれかひとつ当てはまるかといって必ずしも骨粗しょう症になるわけではありません。年齢を重ねても骨密度が十分にあり、丈夫な骨を維持している人もいて、骨を丈夫にする食事や運動を心がけることでリスクを下げることも可能です。


骨粗しょう症になりやすい要因を知った上で、日常生活で変えられる点については改善し、定期的に医療機関で骨密度測定を受けるなど、骨の健康に関心を持つことが大切でしょう

背が縮んだ。背中や腰が痛い。そんな症状があったら骨粗しょう症かも?

骨粗しょう症が多くの人に見過ごされがちなのは、骨密度が著しく低下していても本人に自覚症状がほとんどないからです。骨粗しょう症になると、家の中でつまずいて手をついたり、くしゃみをしたりなど「まさかこの程度で」と思うような弱い力で簡単に骨が折れてしまうことがあります。次に示したのは骨粗しょう症が進行している可能性がある3つのサインです。

①身長が縮んだ
身長が数年前と比べて縮んだ気がする、以前は簡単に手が届いた高い棚に手が届かなくなってきたということはないでしょうか。身長の低下は、自分では気づきにくいかもしれませんが、家族など身近な人に指摘してもらうことで気づくこともあるかもしれません。

②背中が丸くなった

いつも着ていた洋服が着づらくなった、食後に胃もたれを感じるなど。背中が丸くなると、内臓が圧迫されることによる消化不良や、便秘、息切れなどの症状が出ることがあります。また、姿勢が変わるので歩き方が不安定になり転倒につながりやすくなります。鏡の前で姿勢をチェックし、背中が曲がったり、前かがみになったりしていないか確認してみましょう。

③背中や腰の痛み

荷物を持った時や、イスから立ち上がったときに背中や腰に痛みを感じることがある場合、その原因が骨粗しょう症である可能性があります。「歳のせい」「しばらくしたら自然に治る」と一時的な腰痛と思って見過ごさずに、早めに医療機関を受診しましょう。腰痛の原因は、骨粗しょう症以外に腰部脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアなども考えられます。

①②③の3つのサインは、脊椎という背中の骨が押しつぶされること(圧迫骨折)による、骨粗しょう症の代表的な症状です。背骨の骨折は、体を強く打ったというようなことがなくても、体の重みによって生じていることがあるのです。ひとつでもあてはまる症状があれば、医療機関で診察を受けてください。