かぜ以外の「咳」にも要注意

骨折につながる咳をもたらすさまざまな感染症

肋骨骨折を招く咳は、かぜの代表的な症状のひとつです。 しかし、長引いたり強い咳が起こったりする場合は要注意。かぜ以外の感染症にかかっているかもしれません。

細菌やウイルスが喉の奥の肺に入り込んだり、かぜによる喉の炎症が気管支の先にまで広がったりすると、肺炎を起こして強い咳が生じます。特に高齢者では、インフルエンザウイルスや肺炎球菌に感染すると肺炎が起こりやすく、また重症化もしやすいので注意が必要です。

近年流行することもある感染症に「マイコプラズマ肺炎」があります。マイコプラズマ肺炎は年齢に関係なく生じ、子どもにも流行が広がることがあります。乾いた咳が長く続くのが特徴で、夜眠れないほどの激しい咳が生じることもあり、骨粗しょう症の人がかかると骨折の危険性が高まります。

最近増えている咳ぜんそく

かぜを引いているわけでもないのに、発作的に出る咳が長く続く病気に「咳ぜんそく」があります。"ぜんそく"というと、子どもの病気と思う人も多いのですが、咳ぜんそくは大人になってから発症するケースが多く、近年増加傾向の病気として注目されています。

ぜんそくは気管支の粘膜に慢性的に炎症が起こって過敏になっている状態で、そこに何か刺激が加わると咳の発作が起こる病気です。咳ぜんそくも同様にして起こりますが、夜布団に入ったときや早朝に咳が出やすいのが特徴で、天気や気温、湿度などによっても咳が出やすくなります。他には、タバコや香水などの匂い、ほこり、会話、運動などが咳のきっかけになることもあります。

一般的なぜんそくのように"ゼーゼー、ヒューヒュー"という喘鳴(ぜんめい)は伴わないため、咳ぜんそくになっても気づきにくいのですが、放置すると咳が続いたりぜんそくへ移行することもあります。

咳の治療は病気によって異なる

肺炎などの感染症による咳は、原因となる病原体に対する抗菌薬や抗ウイルス薬を使用して治療をします。咳ぜんそくでは、主に吸入ステロイド薬などで炎症を抑えて発作を予防し、発作が起きたときは気管支拡張薬などを使用して治療をします。

早く治療するほど症状の改善が早くなり、それだけ骨折のリスクも減らすことができます。咳が続く場合は放置せずに医師に相談するようにしてください。