転びやすい場所は「ぬ」「か」「づけ」でチェックしよう
家の中で転倒しやすい場所は、「ぬかづけ」と合言葉で覚えておくと便利です。
「ぬ」は濡れたところです。キッチンや洗面所、お風呂場などの水回りはもちろん、玄関のタイルなども、雨の日は濡れて滑りやすくなっています。
「か」は階段や段差のあるところです。特に日本の古い家屋では、急な階段が多いのですが、通常の階段であっても足元が暗かったりすると足を踏み外しやすいものです。また、健康な方であれば問題がないように思えるわずかな段差も、足が上がりにくい高齢者では転倒の原因になります。
最後の「づけ」は片づけです。読んだ雑誌や新聞が広げたままになっていたり、使った物がそのままになっていませんか。 足もとの片づけられていない物は、障害物となってつまづきを招きます。
転びにくい環境づくりに挑戦してみよう!
転びやすい場所のチェックができたら、次に転倒予防のための対策をしていきましょう。前もって環境を整えることで、回避できる転倒もあります。
- ①整理整頓
- 生活する上で頻繁に行き来する「生活動線」となる床には物を置きっぱなしにせず、定位置に戻すようにしましょう。広がりやすい電化製品のコードはコンパクトにまとめるか、壁に這わせる、もしくはテープで固定します。カーペットは端がめくれていたりすると、つま先がひっかかりやすくなりますので、専用のピンで固定します。
- ②段差・階段
視力が低下していると、床のわずかな段差に気づかないことがあります。段差の端に目印となるテープを貼ると見分けやすくなります。敷居はスロープ板を設置して段差を解消するとより安全です。段差の大きい玄関では踏み台を置くのもよいでしょう。浴室は脱衣所と同じ高さになるようにすのこを置きますと、段差の解消だけでなく浴室の滑り止めになります。
階段には、転倒防止用の滑り止めのマットを貼り付けましょう。ちなみに階段では、かかとのないスリッパを履いていると、脱げやすく危ないので、転倒防止用のルームシューズがおすすめです。
- ③手すり
トイレや風呂場などの水回り、廊下や階段などには手すりを設置します。手すりがあると、歩行や立ち上がり時の補助となり、いざという時にはつかまって体を支えることができます。風呂場では浴槽をまたぐときに姿勢が不安定になります。浴槽の縁と同じ高さのイスの設置も検討してみましょう。
- ④照明
高齢者の転倒では、夜中目が覚めて、覚醒しないままトイレに向かい、暗がりの中で足をとられて転ぶことが多いようです。夜間の歩行を安全にするには、寝室や廊下や階段などに足元を照らせるフットライトがあると安心です。起きたらすぐ部屋を照らせるように、枕元の手が届くところにも照明を置きましょう。
慣れ親しんだ我が家をより安全で快適に過ごせるよう、少しづつ工夫してみましょう。自立した生活を妨げる大腿骨近位部骨折を未然に防ぐには、日々の生活で改善できることを少しずつでも続けていくことです。