「転倒しない」環境づくりをしよう(1) ~転倒が起こりやすい場所を把握しよう

転倒により引き起こされる大腿骨近位部骨折

太ももにある「大腿骨」という骨は、人体の骨の中で最も大きく長い骨です。大腿骨は、骨盤や上半身を支えるだけでなく、「歩く」「立つ」などの人間の基本動作を担う骨です。大腿骨のうち、脚の付け根付近の骨折(大腿骨近位部骨折)は、多くの場合手術を必要とし、要支援・要介護状態に進みやすい骨折とされています。 日本では、この大腿骨近位部骨折の発生が増加しており、高齢者の自立を妨げる大きな要因となっています。

大腿骨近位部骨折の大半は「転倒」により引き起こされます。転倒時に後ろ方向に尻もちをついたり、横倒しになって股関節の側面を打つなどして生じやすいです。骨粗しょう症による大腿骨近位部骨折は、一方の脚の付け根を骨折すると反対の脚の付け根も骨折しやすくなるなど、連鎖的な骨折につながりやすいという特徴があります。次の骨折を未然に防ぐには、骨粗しょう症治療や予防とともに転倒を防ぐことが重要です。

転倒はどんな場所で起こる?

転倒は高齢になるほど増加します。これは加齢による筋力や視力、平衡感覚の機能低下など、身体的衰えによることも大きいですが、特定の環境条件が転倒リスクを助長することもわかっています。

東京消防庁の調べによると、平成27年に日常生活の事故で救急搬送された人約129,000人のうち半数以上が65歳以上の高齢者で、そのうち約8割が「転ぶ」ことによって生じています。 さらに「転ぶ事故」の発生場所を見ると、その6割近くが「住居など居住場所」で発生し、このうち「居室・寝室」が圧倒的に多く、次に「玄関・勝手口」、「廊下・縁側」、「トイレ・洗面所」と続きます。つまり転倒事故は、必ずしも外出先などの不慣れな場所ではなく、住み慣れた我が家で多く発生しているのです。