骨折しやすい4つのウィークポイント

高齢者が骨折しやすい部位は「背骨」「脚のつけ根」「腕のつけ根」「手首」

高齢者の骨折は、若者と比べて骨折が治るのに時間がかかるという特徴があります。

また、高齢者では骨粗しょう症により骨の強度が落ちている方が多く、弱い外力でも折れやすくなっています。一般的な外傷による骨折では、大きな力が加わった部位の骨が折れるものですが、骨粗しょう症による骨折では力が加わったところから少し離れた部位が折れることがよくあります。例えば転んでお尻をつくと脚のつけ根、つまづいて手のひらをつくと手首、肘をつくと腕のつけ根など、直接力が加わっていない部位の骨が折れてしまうのです。

「背骨の骨」「太もものつけ根」「手首」「腕のつけ根」が高齢者の骨折しやすい部位とされています。

もっとも頻度が高い背骨の骨折

背骨は、高齢者で特に骨折の頻度が高くなっています。背骨は常に体の重みを支えていることに加え、背骨を構成する椎骨の内部は骨代謝の影響を受けやすい「海綿骨」の占める割合が多くなっています。そのため、骨粗しょう症により骨が脆くなると、物を持ち上げたり、くしゃみをしたり、ちょっとのきっかけで骨折してしまうことがあります。しかも、背骨は1つの椎骨が折れると近くの椎骨に斜め方向から過剰な力が加わるため、隣り合う複数の椎骨が潰れてしまうことがあります。

背骨の骨折は痛みを感じないこともあり、背中が丸くなったり(円背)、身長が低くなるなどの変化が、骨折の重要なサインとなります。腰に痛みがある場合でも、「年のせい」とそのままにしている方もおられますが、腰痛の原因には筋肉や神経の障害、内臓系の疾患など骨折以外のさまざまな要因も考えられますので、1度は病院を受診して調べてもらうようにしてください。

脚のつけ根:転んだときに折れる、要介護の原因となる骨折

脚のつけ根の骨折(大腿骨近位部骨折)は日常生活へ及ぼす影響が非常に大きい骨折です。大腿骨は、先端の丸い骨頭と呼ばれる部分が、骨盤のくぼみにはまって骨盤と接しています。この大腿骨頭と大腿骨を連結しているあたりを大腿骨近位部といい、転倒時に骨折しやすい部位です。70歳を過ぎると生じやすく、大腿骨近位部骨折の8割以上は、転んでお尻を打ったり、膝を打ったり、太ももをねじったりすることで生じます。

大腿骨近位部を骨折すると、立ったり歩いたりなどの基本的な動作が困難になります。高齢者では動けない状態が長く続くと、その間に筋力や体力の衰え、認知症のリスクが高くなるといったさまざまな問題が生じます。ほとんどの場合、再び歩けるようになるために手術が行われますが、手術後はなるべく早期にリハビリを行い、早い離床と日常生活への復帰を目指します。